『コーダ あいのうた』は2021年、サンダンス映画祭でグランプリ、監督賞、観客賞、アンサンブルキャスト賞を受賞しました。
そして、第94回アカデミー賞も受賞。
ろう者の俳優たちがメインキャストを務めた、映画史上でも類を見ない名作として名を残しました。
今回の記事では、映画『コーダ あいのうた』が伝えたかったメッセージを読み解きます。
また、本作を観た方の間で疑問があがっていた、ルビーが家族の元を去る時に送った最後の手話や、「CODA」という言葉の意味も解説。
最後の手話の意味がわかれば、ラストシーンの感動がもっと増すかもしれません。
最後の手話はどんな意味?
引用:https://movie-architecture.com/coda
ラストシーンのルビーの手話は、「I love you.(大好き)」という意味です。
アルファベットで表した時に、小指が「I」、人差し指と中指で「L」、親指と小指で「Y」を作っているのがこの手話。
つまり、「I love you.(大好き)」の頭文字を指で表現しているのです。
ルビーは中指を人差し指にかけていますよね?
これは、「I really love you.(本当に大好き)」の表現なんだそうです。
手話の意味がわからなくとも、家族の元を離れることになったルビーの切なくも毅然とした表情に涙した方も多いのではないでしょうか。
「CODA」は何の略?
引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/fd01ac9843c30a8ef0546ec9a342394151e8ef8c
本作のタイトルになっているCODAという単語は、「聞こえない親のもとに生まれた聞こえる子ども」という意味です。
英語の「Child of Deaf Adults」の頭文字を取った略語になります。
さらにCODAには、音楽の譜面で楽曲の終わりを表す記号としても使われているんです。
つまり、『CODA』というタイトルには、本作のテーマである「障がい」と「音楽」の両方の意味がかかっています。
CODAとして生まれた主人公のルビーが、音楽に触れることで自分の人生を選択していく、というダブルミーニングになっているのかもしれません。
『コーダ あいのうた』のメッセージとは?
2022年のアカデミー賞は『コーダ あいのうた』が作品賞。障がいを持つ方々の自立と尊厳に言及し多様性の理解をさらに一歩進める作品が最高賞に輝くことは、世界に向けてアカデミー賞が発信した強いメッセージだろう。同作は、障がいを持つ当事者たちが演じていることも大きな意味を持つ。素晴らしい。 pic.twitter.com/34lI7dtFd6
— 中井 圭 (@nakaikei) March 28, 2022
『コーダ あいのうた』のメッセージは非常に普遍的で、「どの家庭にもある子どもの巣立ち」を描いています。
誰でも共感できるメッセージを軸として、「ろう者やコーダの孤独」や「家族の共依存」というテーマを盛り込んでいるのではないでしょうか。
本作で印象的なのは、ルビーが学校のコンサートで歌を披露するものの、家族はそれを体感することができないというシーン。
家族に歌を届けられないということは、コーダであるルビーにとってももどかしい出来事になってしまうのです。
このように、本作ではろう者やコーダが感じる疎外感を痛いほど感じさせる場面演出がありました。
そして、本作のもうひとつのテーマとして、家族の共依存も描かれています。
ろう者である家族が通訳のルビーに頼りきりなだけでなく、ルビー自身も家族を助けられるのは自分だけと考えて、将来への道を断ってしまうのです。
ひとりの少女が孤独や共依存という問題にぶつかりながら、自分の生きる道を模索し巣立っていくという一連の展開が、『コーダ あいのうた』が描きたかったメッセージなのではないでしょうか。
最後の手話の意味は?『コーダ あいのうた』のメッセージを読み解く!まとめ
引用:https://movie-architecture.com/coda
以上、今回は、「最後の手話の意味は?『コーダ あいのうた』のメッセージを読み解く」というテーマでまとめました。
もう一度記事の内容をおさらいしましょう。
最後の手話は、「I love you.(大好き)」という意味でした。
そして、タイトルにもある「CODA」という単語は、「聞こえない親のもとに生まれた聞こえる子ども」と、音楽の譜面で楽曲の終わりを表す記号をのふたつの意味がかかっていました。
『コーダ あいのうた』は障がいをテーマとしているだけでなく、「どの家庭にもある子どもの巣立ち」という普遍的なメッセージを含んだ作品ということもおわかりいただけたでしょうか。
本作に込められた意味やメッセージを理解した上で、ぜひ『コーダ あいのうた』を鑑賞してみてください!
コメント