『イン・ザ・ハイツ』映画のあらすじと考察!作品から読み解く移民の歴史

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2021年に公開された映画『イン・ザ・ハイツ』はブロードウェイ・ミュージカルを映画化した作品です。

原作のミュージカルは2008年のトニー賞でベスト・ミュージカルにも輝いた人気作品。アメリカに生きるラテン系の人々のエネルギーを感じられるストーリーと曲に多くの観客が盛り上がりました。

この記事では、映画『イン・ザ・ハイツ』のあらすじを紹介します。あらすじから見えてくるアメリカの移民の歴史についても考察していきますよ。

 

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『イン・ザ・ハイツ』のあらすじ

引用:https://front-row.jp/_ct/17454538

物語の舞台となるのは、アメリカ・マンハッタン北部のワシントンハイツ。

この地区には、ドミニカ共和国、プエルトリコ、キューバ等からやってきたラテン系の移民たちが暮らしている。

食料雑貨店を営む主人公のウスナビは、両親の祖国であるドミニカ共和国へ帰って自由な暮らしを手に入れることを夢見ている。しかし夢を叶えるには途方もない大金が必要で、宝くじに当たるくらいしか叶える方法がない。

ウスナビが想いを寄せるバネッサは美容室に勤めながらもデザイナーになることを、黒人であるベニーは真面目に働いて出世することを目指し、若者たちはそれぞれの胸に夢を抱きながら生きている。

一方ベニーの元恋人ニーナは、スタンフォード大学へ進学したことから町の人々の羨望と期待を一身に集めていたが、大学で人種差別を受けて苦しんでいた。

そんなある日、酷暑に見舞われたワシントンハイツで大停電が発生する。

なんとか家に帰り着いたウスナビだったが、同居していたアブエラが息を引き取ってしまう。アブエラは夢と希望を求めてアメリカへ移住してきたが、そこにあったのは我慢と忍耐の繰り返しばかり。アメリカへ来て本当に幸せだったのかと自問自答しながら亡くなってしまったのだ。

町の母でもあったアブエラの死によってワシントンハイツは意気消沈。そんな町の人々をウスナビは鼓舞する。ウスナビの力強い呼びかけによってエネルギーを取り戻した人々は、自らの祖国への愛を高らかに歌うのだった。

 

ネタバレ!なぜウスナビはアメリカに残ることを決意したのか?

引用:https://www.cinemablend.com/news/2568740/in-the-heights-ending-explained-what-happened-different-from-stage-musical-lin-manuel-miranda

停電とアブエラの死によって意気消沈したワシントンハイツの人々を鼓舞するため、ウスナビは夢であった祖国への帰還を実現することを宣言します。

しかし最終的にウスナビはアメリカに留まることを決意し、バネッサとともに幸せな家庭を築くというのがこの映画の結末でした。

ウスナビはアメリカで移民として暮らすことに苦悩し、自らのアイデンティティを探し求めていたにも関わらず、なぜアメリカに残ることを決意したのでしょうか。

その理由として、自分の思い出や大切な人間関係がある場所こそ故郷だとウスナビが気がついたことが挙げられます。それまでのウスナビはアメリカでの生活に充足感を得ていませんでしたが、ここが故郷であると決心したことで、アメリカという故郷で彼の夢が続いていくことになりました。

 

『イン・ザ・ハイツ』に見るアメリカ移民の歴史

引用:https://www.pluggedin.com/movie-reviews/in-the-heights-2021/

『イン・ザ・ハイツ』はラテン音楽で彩られたミュージカル映画で、観ているだけで踊り出したくなるようなノリの良い作品。しかしこの作品が描いているテーマは「アメリカにおけるラテン系の人々への差別」という重いテーマです。

舞台となるワシントンハイツでは賃金は上がらないのに物価は上昇するばかり。

デザイナーになるためにダウンタウンへの引っ越しを考えるバネッサは、移民というだけで不動産会社から様々な証明を求められて苦しみます。また才女として町の人々から期待されているニーナは念願のスタンフォード大学に進学したものの、寮内で生徒がネックレスを紛失したことで窃盗の疑いをかけられる羽目に。ウスナビの弟・ソニーは不法移民であるが故に働くことを許されません。

『イン・ザ・ハイツ』からは、移民というだけで差別を受け、アメリカ国民として同じスタートラインにすら立たせてもらえない人々の苦しみが伝わってきます。どんな状況であっても「夢」という尊厳を忘れない彼らの姿は、多くの人に勇気を与えたのではないでしょうか。

 

『イン・ザ・ハイツ』映画のあらすじと考察まとめ

引用:https://studioswatcher.hatenablog.jp/entry/intheheights_kansou

『イン・ザ・ハイツ』はエネルギッシュなミュージカル映画でありながら、同時にアメリカの社会問題を切り取った作品でもありました。

苦しい生活の中でも互いに助け合い、前向きに人生を謳歌している人々の姿に大きなパワーをもらえることでしょう。

自分の生き方やアイデンティティに迷いを感じた時は、『イン・ザ・ハイツ』を観て自分にとって本当に大切なものを思い出してはいかがでしょうか?

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